定年からの果敢なチャレンジ。知識を蓄え、健康性の高さをアピール 株式会社竹資源開発 会長 田中一男様
 

借金を抱えた状態で、定年退職後に事業をスタート

 田中会長は、株式会社竹資源開発の創業者。現在は会長として会社の後見役を務めています。田中会長が竹フローリングを取り扱う同社を興したのは、なんと前職を定年退職した後でした。
「それまでは国際線のパイロットとして、航空会社で働いていました。自分の仕事以外のことは何も知らない状態で約40年働いてきたのです」
  60歳を迎えて定年退職をした時、田中会長に残されたのは、ベテランパイロットとしての輝かしい実績と、バブル時代にだまされて作ってしまった借金でした。
「退職金をつぎ込んでも、借金はまだ残っていました。そこで銀行から提示されたのは、すべての処分を銀行に委ねて自己破産するという道。確かにそうしてしまえば楽になれたかもしれませんが、私には抵抗感がありました。そこで、働きながら借金を返し続ける道を選んだのです。定年後であっても、自分のバイタリティと可能性を信じていました」
  田中会長は、「まずはパイロット以外の仕事を知らなければならない」と、起業家が集まるセミナーに出席するようになります。IT関連の起業家が多く出入りする中で、田中会長の目を惹いたのが竹のフローリング材を扱う会社の社長。『ある程度の業績はあるものの伸び悩んでいる』というその会社に、田中会長はなけなしのお金を出資する事を決意します。

 

次々に起こる不測の事態
出資者から経営者への道

 資金を出資することで竹フローリング会社の役員となった田中会長。その後も社長から資金の相談を受け、その度になけなしのお金から資金を出資していきました。しかし、会社の経営状態はいっこうに改善のきざしを見せません。
「一向に景気の良い話が出てこないのを不審に感じて社長を問いただしてみると、会社の経営は悪化の一途をたどっているということがわかりました。しかも、私が提供していた資金は、社長個人の借金返済や生活費に使われていたことも判明しました」
 もはや会社の経営がおぼつかないと嘆く社長を見て、何を言ってもしかたないと感じた田中会長は、株の譲渡を条件に提供した資金の負債を帳消しにしました。そして、竹フローリング会社は田中会長のものとなったのです。
「会社が自分のものになったとはいっても、そこには何もありませんでした。会社を引き継いだというよりも、1からのスタートだったのです」
 

1からのスタート
まずは商品について知ることから

 竹フローリング会社の社長になった田中会長でしたが、竹材やフローリング、施工についてほとんど何も知らない状態だったといいます。
「まずは、竹について知らなければならないと思いました。竹の特性、どんな点が床材として優れているのか、仕入はどこからするのかなど、実際に商売を始める前に知らなければならないことはたくさんあったのです」
 竹についての勉強をするかたわら、竹フローリングの輸出元であった中国で、製造工場を探し、契約をする必要もありました。
「幸い、商社に勤めていた息子が中国に駐在していたので、中国での交渉は息子に任せました。息子を説得して会社を辞めてもらい、一緒に会社をやることにしたのです」
 以前より安くて質の良い輸入ルートの確保と同時に、竹の知識にも精通していった田中会長。定年後とはいえ、そのバイタリティにはいささかの衰えもありませんでした。
「今後の人生がかかっているわけですから、とにかく一生懸命に勉強しました。商品を売る以上は、その商品に精通しないとならない。自信を持ってお客様に説明し、お勧めできるようにならなければ、商売は成り立たない。私は竹フローリングと素材である竹について、自分が世界で一番知っていると自負できるぐらいでなければならないと思っています」
 かくして田中会長は竹についてのエキスパートとなり、事業を展開する基礎が完成しました。       
 

自信を持ってすすめる健康素材
エコロジーな天然素材の竹フローリング

 「私が竹フローリングに惹かれたのは、エコロジーな特質があったからです。パイロット時代に空から地上を眺めると、森林の伐採が進んでいる様子が手に取るようにわかりました。そんな風景を眺めるうち、『定年したら自然保護のボランティアでもしたいな』と考えるようになっていました。経済的な事情からそれは叶いませんでしたが、竹フローリングと出合うことができたのです」
 竹はおよそ3年で成木になる、効率的な天然資源。他の木々と比べて驚くほど成長が早いため、竹資源の活用は森林の保護にも繋がります。その上、防菌・防カビ効果に優れ、アトピーやシックハウス症候群の予防にも効果を発揮します。さらに、竹特有の堅牢さは周知の通り。その優れた硬度は、建材としても高い評価を得ています。
「優れた特質を持つ竹製品は、社会で高い評価を得ると確信していました」
 特にアトピーについては、インターネットや書籍による勉強から、セミナーなどにも参加するなど、頭と体をフル回転させて学んだと言います。
「竹がアトピーやシックハウス症候群の予防に効果的だと知り、大きなセールスポイントになると思いました。しかし、ただ表面的な知識ではあまり役立たない。できる限り詳しく調べ、役立つ知識を身につけようと思いました。こちらが本気で勉強し、その知識をベースにお話すれば、お客様にも伝わり、心にも響く。逆に、適当にやっただけでは、それなりのものしか伝わらないでしょう」
 竹について学ぶたび、竹製品を取り扱う仕事への自信を深めていった田中会長。早く事業を展開したいと、気持ちは逸ります。

 
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